「サボテンの板」を買ったのは、正直なところグラフィックに一目惚れしたからです。

スキーの購入動機として不純かもしれませんが、アイスランティックのNomad 106を手に取ったきっかけはスペックでも口コミでもなく、あのトップシートでした。砂漠の夕景にそびえ立つサボテン。どう見ても雪山の板ではない、そのデザインに「これだ」と直感した、いわゆるジャケ買いです。

ところがこの板、見た目の期待を大きく上回る実力を持っていました。パウダー機というよりも、パウダーもゲレンデもパークも——フィールドを選ばず遊び尽くせるオールラウンダーとして、北海道のスキーライフを一変させてくれた一本です。

Icelantic Nomad 106 とは

Icelantic(アイスランティック)はコロラド州デンバーを拠点とする独立系スキーブランドです。大手メーカーとは一線を画した個性的なグラフィックと手仕事へのこだわりが特徴で、熱狂的なファンを世界中に持ちます。

Nomadシリーズはラインナップの中核を担うフリーライド・オールマウンテンモデルで、ウエスト幅によって複数のバリエーションが存在します。「106」はパウダー適性と整地での操作性を高い次元で両立させた、ブランドの顔ともいえる一本です。

スペック

ブランドIcelantic(アイスランティック)
モデルNomad 106
テスト長176cm
ウエスト幅106mm
ロッカータイプロッカー/キャンバー/ロッカー
コア素材ウッドコア(アッシュ+ポプラ)
推奨身長目安170〜175cm前後
製造コロラド州デンバー(USA製)

※スペックは年モデルによって変更されることがあります。購入前にメーカー公式情報をご確認ください。

デザイン・購入動機——これはジャケ買いです

スペックを比較して選んだ板ではありません。あのグラフィックに負けました。

砂漠の夕景を背景にそびえるサボテン、ピンク〜マゼンタのグラデーションのソール。どこをとっても「雪山の道具」らしくない佇まいが、逆に刺さりました。ゲレンデで立てかけておくだけで周囲の視線を集め、「どこのですか?」と声をかけられることが何度もありました。

スキーは道具である前に、テンションを上げてくれる相棒でもある——そう実感させてくれる一本です。

乗り味・フィールド別インプレッション

最大の誤算——「思ったよりトップに張りがある」

正直に言うと、購入前の想像では「106mmのロッカー系=ふわっとした、パウダー専用のルーズな板」でした。ところが実際に乗ってみると、その印象は大きく覆されます。

トップにしっかりとした張りがあるのです。

この張りのおかげで、不整地に差し込んでもトップが雪面に負けず前へ前へと出ていきます。グルーミングされた整地をロングターンで流す……というよりも、ショートターンで縦にどんどん落としていける板。荒れたバーンやコブ混じりの斜面でも失速せず、ガンガン攻めていける意外な積極性がこの板の真骨頂です。

「パウダーも入れる攻めの整地板」という表現が、最もしっくりきます。

ただし前述の通り、この板はパウダー「専用機」ではありません。浮力を楽しみながら、不整地の起伏を積極的に使って縦に落としていく滑りと組み合わせることで、この板の本領が発揮されます。

圧雪・整地

ウエスト106mmのファットスキーとしては、整地での操作性は優秀な部類です。エッジのグリップは十分で、スピードに乗ったターンにも対応します。ロッカー形状ゆえにカービング特化の板と比べると接雪長は短くなりますが、その分ターンの切り替えが軽く、テンポよく滑れます。

パーク・地形遊び

トップの張りとウッドコアのしなやかさの組み合わせは、小さなキッカーやバンク、壁などの地形遊びにも相性が良いです。ガチのパーク板ではありませんが、ゲレンデ内のさまざまな地形を遊び尽くすには十分すぎる性能を持っています。

サイズ選びについて——176cmを選んだ正直な感想

今回は176cmを選択しましたが、乗り込んでみて一点だけ感じたことがあります。

高速域での安定感を求めるなら、もう少し長くても良かったかもしれない。

176cmはショートターンや地形遊びでの取り回しの良さが際立ち、北海道のゲレンデでは十分すぎる扱いやすさです。ただ、スピードを乗せてロングターンを楽しみたいシーンでは、もう5cm長い181cmあたりがより安定感をもたらしてくれたかもしれないと感じました。

  • 取り回し・地形遊び重視 → 176cm(身長目安:170〜175cm前後)
  • 高速安定・ビッグマウンテン志向 → 181cm以上

このセットアップが向いている人

  • パウダーの日も、整地の日も、同じ一本で遊び尽くしたい
  • ゲレンデ内でショートターンを縦に落としていくアグレッシブな滑りが好き
  • パークや地形遊びも取り入れたい
  • 個性的なデザインの板で、ゲレンデでひと際目立ちたい
  • 「パウダーの日だけ特別な板」ではなく、年間を通じてメインで使える一本が欲しい

気になった点

  • 重量感:ウッドコアとしっかりした構造のため、軽量ツアースキーと比べると重さを感じます。担ぎやハイクを伴うバックカントリーには向きません。
  • 高速域での板長:高速ロングターンを重視するなら181cm以上の検討をおすすめします。
  • グラフィックの好み:個性的なデザインは唯一無二の魅力ですが、シンプルな見た目を好む方には刺さらないかもしれません。

総合評価

評価項目スコア(5点満点)
パウダー適性★★★★☆
整地・不整地での攻め性能★★★★★
地形遊び・パーク適性★★★★☆
オールラウンド性★★★★★
デザイン・所有感★★★★★
総合★★★★★

Look Pivot 15 レビュー

Look Pivot とは

Look Pivot(ルック・ピボット)は、フリーライドスキーヤーの間で長年支持されてきたアルペンビンディングの定番モデルです。シンプルな構造と圧倒的な耐久性、そして独特のピボット機構による解放のスムーズさが最大の特徴で、プロライダーからゲレンデユーザーまで幅広いファンを持ちます。今回テストしたのはDIN値4〜15に対応した「Pivot 15」です。

スペック

ブランドLook(ルック)
モデルPivot 15
DIN値範囲4〜15
ブレーキ幅95mm / 115mm(板幅に合わせて選択)
ヒールピースデュアルピボットヒール
重量(片足)約540g

使用感

解放特性の自然さがPivot最大の美点です。ピボット軸を中心になめらかに回転して外れるため、膝への負担が少なくナチュラルな解放を体感できます。アグレッシブに縦に落としていく滑りで転倒した際も、この解放特性は安心感につながります。

保持力の高さも特筆に値します。高速カービングや荒れたバーンで踏み込んでも、ブーツと板の一体感が崩れません。「しっかり保持しながら、いざというときは確実に外れる」——このバランスが絶妙で、Nomad 106の攻めた滑りを存分にサポートしてくれます。

セッティングの安定性も好印象で、使い込んでもDIN値がずれにくく、長期にわたって信頼できます。

気になった点

  • 重量:同クラスの他モデルと比べてやや重めです。軽量化優先のツアー用途には向きません。
  • 互換性:一部の幅広ブーツとの相性に注意が必要です。取り付け前にショップでの確認をおすすめします。

Nomad 106との相性

Nomad 106の「積極的に踏み込む・地形を使う」という性格と、Pivot 15の「しっかり保持・スムーズに解放」という特性は非常によくマッチしています。不整地でガツガツ攻める場面でも板のたわみを活かした動きを妨げず、転倒時の解放も安心感があります。オールラウンドな遊び板の相棒として、これ以上ない組み合わせです。

Look Pivot 15 総合評価

評価項目スコア(5点満点)
解放のスムーズさ★★★★★
保持力・剛性★★★★★
耐久性・信頼性★★★★★
軽量性★★★☆☆
コストパフォーマンス★★★★☆
総合★★★★★

まとめ

Icelantic Nomad 106は、「パウダー機」という先入観を裏切る、懐の深いオールラウンダーです。

パウダーバーンの浮力、不整地でのトップの張りと推進力、ショートターンで縦に落としていける軽快さ、そして地形遊びへの適性——どれひとつ妥協せず、一本で全部やりたい欲張りなスキーヤーの要求に応えてくれます。

最初のきっかけはジャケ買いでした。でも今となっては、「この板を選んだのはグラフィックのおかげだ」と、むしろ感謝しています。

サボテンの板を履いて、北海道の白いゲレンデを縦横無尽に遊び尽くす——そのギャップも含めて、このセットアップの最大の魅力です。